佐伯啓思氏による「論壇思潮」への感想

(2000年5月10日と11日付け読売新聞夕刊)

2000年5月18日

何から何まで西欧の近代憲法に追従する必要はないことは認めるが、「歴史の革命的断絶を経ていない、それゆえに歴史の継続性の上に立つ我が国」という見解には意見を述べたい。
確かに、古代から現在まで象徴性を持つ天皇が存在する。しかし、日本国憲法以前はずっと理論的にも法的にも主権者は天皇であった。幕府は天皇から主権を委任されたに過ぎない。日本国憲法以後は国民が主権者であり、その間には深い断絶が存在するのだ。だからこそ、天賦人権が実現されたのだ。
その天賦人権の下、道徳が忘れられた結果、「現代日本の価値の中心にくるのは、可能な限り欲望を実現し、自己を表現し、自然のままの自己を提示すること」になったのだ。これが抑圧としての伝統的文化が力を失いつつある現状だ。
抑圧としての文化は人間が獣的存在に堕落することから守るものであることを承認する。
しかし、いまさら封建道徳を復活するなど受け入れられないことは明らかだ。
我々は古い皇国史観にたった封建道徳を拒否する
代表の新しい学問により伝統文化の精神を再構築した上で新しい日本文化を創造し時代の要請に答えようとしているのだ。



「救世国民同盟の主張」へ戻る

「トップページ」へ戻る