経済学者に望むこと。
2003年3月4日

貿易は自由主義を貫徹するために行われるのではなく、
世界各国の共存共栄のために行われるべきものだ。


アメリカは日本のコメの関税を大幅に引き下げさせようとしている。
その理由は日本が工業製品をアメリカへ自由に輸出しながら、
アメリカが日本へコメを自由に輸出できないのはおかしいという自由貿易を貫徹する立場だ。
経済学で自由貿易の理論的根拠を与えるのが、
リカードの比較生産費の理論だ。
確かに、比較生産費の理論通り計算的金銭的合理性のみを考慮すれば自由貿易が有利だ。
しかし、福利厚生などの人間の幸福を考慮すれば、
自由貿易を貫徹すると人間の幸福が減る。
比較生産費の理論は金銭的計算的合理性の議論に過ぎず、
人間の幸福や国家社会の繁栄を勘定に入れたものではない。
比較生産費の理論は農業においては的はずれであるし、
工業でも完全に妥当するものではない。
工業でもその産業がその国にあることで、
産業の裾野が広がり雇用を生み、科学技術が発展するし、他の峰を支えるなど、
計算的金銭的合理性では捉えられないメリットが存在するからだ。
そして、それは工業よりも農業で著しい。
農業には環境保全などの多面的機能や食糧安全保障の面などから
工業とは違った配慮が必要だからだ。
例えば、日本は自動車などの工業製品でアメリカに配慮を示し、
現地生産を行ってアメリカに雇用を与えている。
アメリカは日本で農業を行って雇用を生みだしてくれるのだろうか。
アメリカが日本で農業をやるなどということは、
許されることではないし、できることでもないだろう。
農業においてはある程度のアクセスを認めた上で、
自国にとり死活的な数品目については高関税を認めるべきだ。
経済の目的が人間の幸福である以上、
経済学の理論も人間の幸福を勘定に入れる必要がある。
経済学者はそのようなものとして比較生産費の理論を再彫琢して欲しい。
アメリカは自由貿易を貫徹する立場から日本を責めるが
工業製品においてさえアメリカは自由貿易を貫徹していない。
日本の繊維製品、自動車が圧倒的に強かったときには、
自主規制を日本に強いて自由貿易を制限した。
そのようなアメリカが日本の地域社会にとって死活的意味を有するコメで責め立てる。
同盟国のすることだろうか。
アメリカは日米経済構造協議で
日本の繁栄の元だった工業・商業の日本的システムを破壊しようとし、
おまけに、公共投資を10年間で430兆円行うという約束を日本にさせて、
今日の大財政赤字の元を作った。
会計基準を日本の銀行に不利に変更し、金融工学を用いてアジアの繁栄を破壊した。
農業面ではコメの自由化を迫る。
精神面ではまず、公然と軍隊を持てない憲法を押しつけた。
近頃は、フェミニズムを輸出し、
日本男児の男らしさを否定し、大和撫子の婦徳の抹殺を図る。
アメリカは自国の文化・文明を絶対視する傾向を是正すべきだ。



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