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価値資本の贈与

 新経済システムを通じて国民に贈与される価値資本は譲渡も蓄積も不可能にする。すなわち、自分による消費しかできないようにする。そして、国民が消費した価値資本は通常の現金に転化する。また、価値資本の消費によっては公に指定された必需物資しか購入できないようにもする。
 どのようなものを指定するかだが、浪費を招かないこと、労働意欲を損なわないこと、趣味・娯楽や耐久消費財などは除くこと、が原則となろう。具体的には食料品、アルコールを除く飲料、日用雑貨、OA製品を除く文房具、下着類、超高級店を除く外食(アルコールを除く)、クリーニング、銭湯などが、手はじめとしては適当だろう。また、同じ品目で環境に配慮した商品とそうでない商品が競合する場合に、配慮した商品だけを指定すれば、環境対策にもなる。
 また、毎月の価値資本の贈与の金額は国民一人一人に対して、大人が1万8千円、十五歳以下の子供が1万2千円とする。これだけの価値資本が贈与日になると決まって現金口座上に存在するようにする。つまり、月の一定の日になると、現金口座上の価値資本の残りの金額は、消費されて残った金額から、大人なら1万8千円に回復するのである。ただし、子供は現金口座を持たず、母親か父親の現金口座に子供分の価値資本を贈与することになる。子供が多いほど、一家の贈与を受ける金額が多くなり、家計のやり繰りの余地が広がることになる。平均的な親二人子二人の家庭では月6万円、年72万円の補助となる。子育てに対してもかなりの補助となる。毎年の贈与の総額は、大人の人口が一億人、子供が二千五百万人として、二十五兆二千億円となり、GDPの5.04パーセントに相当する。
 現金口座、電子財布を含む情報ネットワークは価値資本について右記のようなことが可能なように構築する。
 贈与する価値資本の総額は巨大なものとなるが、担保の裏付けもなしに発行して通貨不安が起こらないか。
 現在、強制通用力を有する通貨に対する信頼は強い。最近の日銀法の改正により、日本銀行券の最高発行額制限と発行保証制度が廃止されてもいる。また、価値資本は日本の国富を担保としているのだと言えないこともない。国民全員に贈与されるのであるから、そういうことも許されるであろう。
 ところで、価値資本の贈与は国民が現金を「ただ」でもらえることに近く、政治家の人気取りに使われる恐れがある。しかし、価値資本の贈与は経済の成長能力と供給能力とインフレの恐れをにらみつつ客観的な経済的見地からなされなければならない。そのためには価値資本の贈与の決定の過程を工夫する必要がある。
 価値資本の贈与の金額を決める機関は政治から切り離された独立行政委員会とすべきであろう。仮にこの委員会を経済管理委員会と名付けよう。経済管理委員会は管理本部の長、政府の代表、日銀の代表、消費者の代表、財界の代表から構成されることになろう。そして、毎年の価値資本の贈与の総額の増加等の、その決議の重要事項は国会の承認を得る必要があろう。
 管理本部は経済管理委員会の決定を実行することになる。管理本部には、総務・人事・経理を担当する部門、価値資本の分配指令部門、ネットワークや電子財布などのハードウェアの管理部門、システム運用のソフトウェアの開発・維持・管理部門、必需物資の指定部門、不服審査や検査・犯罪の告発を担当する部門などから構成されることになる。
 そして、分配指令部門からの指令に基づいて、銀行は価値資本の贈与を現実に実行することになる。必需物資の指定に当たっては公聴会を開くことが望ましい。
 また、管理本部は価値資本の消費に伴う消費税を政府から受け取って財源とすることになる。

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