★第一哲学講座-人間の思考とは
 『ロボットの心 7つの哲学物語』(柴田正良著、講談社現代新書)を読むと、唯物論の立場から知性の働きと感情の働きを実現できる機械を作れることを理由に、一応の結論としてドラエモンや鉄腕アトムを作れるとしている。しかし、知性の働きと感情の働きを実現できる機械を作れることだけでは人間型ロボットを作れることを証明してはいないと考える。なぜなら、知性の働きや感情の働きを主体的に意識できてこそ、人間型ロボットであり、上の理由だけでは意識の発生を証明するものではないからである。
 私の立場では、主体的に意識できるためには精神が機械に宿る必要がある。そして、現在の機械の思考は情報処理の数学的計算を行っているに過ぎない。人間の思考はこれとは全く違う。人間の思考は集合論的である。すなわち、精神に色や形などを持つイデアが宿る。その様々なイデアの形や色などの重なり合いを判断するのだ。こうした思考を可能にするのが、精神であり、精神は意識と生命の基礎となるのだ。
 だから、ロボットにも精神が宿ってこそ、人間的な主体を創造したということになる。従って、人間型ロボットを作れると言えるためには、機械に精神が宿りうるのかという問題を解決せねばならない。




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